【経産婦鍼灸師が伝える】つわりを乗り越えるための東洋医学の優しい知恵


「新しい命を授かった喜びもつかの間、つわりの辛さに心も体も疲弊してしまっている……」


そんな妊婦さんへ。私自身、3回のつわりを経験した母として、そして鍼灸師として、少しでも日々が楽になるヒントを東洋医学の視点からまとめました。

この記事でわかること
  • つわりの時期と「妊娠悪阻」について
  • つわりの種類とメカニズム
  • つわりを和らげるセルフケア

こんにちは。
Bianca鍼灸サロンです。


Biancaブログでは患者様が気になっていることをブログにしております。
他にも知りたいことなどがあれば、お問い合わせください。
皆様、最後までお付き合いいただければ幸いです。

目次

つわりの時期と「妊娠悪阻」について

妊婦の8割が経験すると言われる「つわり」は、一般的に妊娠4~6週ころから始まり、9~10週ころにピークを迎えます。その後、12~16週までには落ち着く方が多いようです。

時期・症状においては大きな個人差があり、全く感じない方がいる一方で、約0.1%の方は症状が重く、大幅な体重減少や脱水症状といった重篤な状態に陥ることもあります。この状態を「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼び、時に入院が必要になるケースもあります。以下の項目で、妊娠悪阻のセルフチェックを行ってみましょう。

《チェック項目》

  • 1日に5~10回以上吐く
  • 水分が取れない
  • トイレの回数が極端に減る
  • 数日間で急激にやせた

引用:https://himeji.jrc.or.jp/data/media/himeji-jrc/page/diagnosis/sanfujinka/tsuwari.pdf

費用と保険の話

万が一、病院で”重症妊娠悪阻”と診断された場合、その治療や入院にかかる費用には、健康保険が適用されます。また、民間の医療保険に加入している場合、入院給付金の支払い対象となるケースも多くあります。「入院が長引いて、医療費がかさんだらどうしよう…」と一人で抱え込まず、加入している保険の保障内容を確認してみましょう。

なお、ひと月の自己負担額が一定額を超えた場合には「高額療養費制度」も利用できるため、経済的な負担を抑える仕組みが整っています。まずは体を休めることを最優先に考えてくださいね。

つわりの種類

一言でつわりと言っても症状は様々で大きく4つに分けられています。

種類概要
吐きづわり気分が悪く、吐き気を感じたり食欲がない状態。
食べづわり空腹になると吐き気や不快感が増すため、常に何かを口にしていないと落ち着かない状態。
においづわり普段は気にならなかった生活臭や好んでいた香りでさえも、突然不快に感じたり吐き気を催したりする状態。
ご飯の炊ける湯気・出汁の香り・洗剤や香水の匂いなど、身近なものが突然受け付けなくなるのが特徴です。
眠りつわり夜間に十分な睡眠をとっていても、日中に強烈な眠気に襲われる状態。単なる眠気だけでなく、強い倦怠感(だるさ)を伴うことも多く、自分の意志ではコントロールできないのが特徴です。
その他「朝や夕方だけ気分が悪い」や「精神的に落ち込む」「よだれが多くなり、唾液の味に不快を感じて飲み込めず気持ち悪い」「特定の時間帯になると、吐き気や倦怠感に襲われる」などもつわりの症状だと言われています。

つわりのメカニズム

西洋医学からみたつわり

多くの妊婦さんを苦しめる「つわり」ですが、実はその明確な原因は解明されていません。

現在、最も有力な説とされているのは、妊娠によるホルモンバランスの変化です。
妊娠するとhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが大量に分泌され、脳の嘔吐中枢を刺激することで、つわり症状が引き起こされると考えられています。

また妊娠中は体内のビタミン(特にビタミンB6など)が不足しやすくなります。
その栄養状態の変化が、気分の落ち込みやイライラといった精神的な症状に影響を与えるという見方もあります。

STEP
妊娠
STEP
ホルモンの変化(hCGが大量に分泌)

※hCGとは胎盤から分泌されるホルモンで、
 黄体を刺激し妊娠維持に不可欠なプロゲステロンの分泌を促します。

STEP
脳(嘔吐中枢)を刺激、消化管の蠕動運動を低下によりガスが溜まりやすくなる。
STEP
吐き気や気持ち悪さなど、つわり症状が出現

東洋医学からみたつわり

つわりの具体的な話をする前に、東洋医学の基本的な考え方について触れておきましょう。
東洋医学では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素で構成されており、そのバランスが整っていることが健康の秘訣だと考えられています。

「気(き)」:
生命を維持するためのエネルギー

「血(けつ)」:
血液や体に栄養を運ぶ物質

「水(すい)」:
唾液・汗・リンパ液など、血液以外のあらゆる水分

妊娠が成立すると、女性の体には劇的な変化が起こります。
その一つが「生理の停止」です。実は生理には、体の中の不要なものを排出する「デトックス」の役割もあります。
妊娠中は生理が止まることで、老廃物や不要物を外に出せなくなるため、それらを排出しようとする体の欲求が「吐き気」として現れるとと考えられています。

また、「これ以上不要なものを体内に入れたくない!」というサインが食欲不振や嗜好の変化につながるという説もあります。

さらに、お腹の中の赤ちゃんを育てるために、お母さんの「血」は優先的に赤ちゃんに注がれます。
いわば、赤ちゃんへ「血を贈っている」状態です。
その結果、お母さん自身のエネルギーが不足し、「気」や「血」の巡りが滞ることで、頭痛や眠気、吐き気といったさまざまな不調(つわり)が引き起こされるのです。

東洋医学からみたつわり(1)

STEP
妊娠
STEP
生理がストップ
STEP
体の老廃物や余分なものが体外に排出できない
STEP
食欲不振や吐き気が起こる

東洋医学からみたつわり(2)

STEP
妊娠
STEP
赤ちゃんを育てるために栄養などが優先的に赤ちゃんに注がれる
STEP
お母さんのエネルギーが相対的にダウン
STEP
母体「気」「血」の巡りが滞る
STEP
頭痛、吐き気、眠気などの症状を誘発

つわり軽減のヒント

つわりは妊娠に欠かせない過程でだと分かっていても、「この辛さから1日でも早く解放されたい!」と願うのは当然のことです。
少しでもこの期間を楽に過ごすためのヒントをお伝えします。

生姜で症状を和らげる

妊娠中は消化管の動きがゆっくりになるため、吐き気を感じやすくなります。
生姜には消化管の働きを調整する効果があり、摂取することでつわりが軽減されることが示唆されています。
無理のない範囲で、料理や飲み物に取り入れてみましょう。

参考:https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/303846.html

水分の摂り方を工夫する

「水さえも気持ち悪くて飲めない」という時、無理に液体を飲もうとする必要はありません。
脱水を防ぐために、以下のような方法で「食べる水分補給」を試してみてください。

  • スイカやメロンなど水分を多く含んだ果物
  • ゼリーやシャーベット
  • 氷を舐める

上記の生姜効果もあって「少しなら…」という方はジンジャエールもおすすめです!

鍼灸治療を活用する

「薬を使わずに症状を抑えたい」という方に鍼灸は特におすすめです。
副作用の心配がなく、つわりによる吐き気だけでなく、心理的なストレスの緩和も期待できます。

東洋医学ではつわりの状態を以下の3つのタイプに分けて考え、お一人おひとりの体質に合わせてアプローチします。

脾胃虚弱(ひいきょじゃく)

胃腸の機能がもともと弱く、エネルギー不足の状態です。疲れやすく、胃もたれしやすい方に多くみられます。

肝胃不和(かんいふわ)

ストレスや緊張によって「気」が滞り、胃に影響が出ている状態です。イライラや落ち込みなど、情緒の変化を感じやすい方に多いのが特徴です。

痰湿(たんしつ)

体の中に余分な水分や老廃物(ネバネバしたもの)が溜まっている状態です。体が重だるく、むくみやすい方によく見られます。

セルフケア!つわりを和らげる3つのツボ

「鍼灸院に行ってみたいけれど、今は外に出るもの辛い…」

そんな時は、ご自宅で簡単にできるツボ押しを試してみてください。
ご自身の手で優しく刺激することで、滞っていた「気」の巡りが整い、症状が和らぐことがあります。

内関

胃のムカムカや吐き気の抑制に加え、自律神経を整える働きがあります。精神的な緊張や不安を和らげてくれるため、心が落ち着かない時にも有効です。


[ 場所の見つけ方 ]
1.手のひらを上に向けます。
2.手首の付け根にある「横のしわ」を探します。
3.そのしわの真ん中から、肘に向かって指3本分(人差し指・中指・薬指)下あたりにあります。


[ 特におすすめのつわり症状 ] 
吐きづわり、眠りつわり

裏内庭

消化器系にアプローチに優れたツボで、内臓の働きを整えるとともに、高ぶった神経を鎮めるリラックス効果も期待できます。


[ 場所の見つけ方 ]
1.足の裏を見ます
2.足の人差し指を指の付け根側に折り曲げます。
3.指の先が当たるところ、または指の付け根の少しぷっくりと膨らんでいる部分がツボの目安です


[ 特におすすめのつわり症状 ] 
よだれつわり

足三里

胃腸の調整し、不快な症状を鎮めます。胃の機能を安定させ、栄養の吸収を助けるとともに、全身のエネルギー(気)を補ってっくれます。


[ 場所の見つけ方 ]
1.膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ下、外側にあるくぼみを探します。
2.そのくぼみに人差し指を当て、指4本分(親指以外)下がったところにあります。
3.スネの骨のすぐ外側で、押すと少しズーンと響くような感覚がある場所です。


[ 特におすすめのつわり症状 ] 
食べつわり、においつわり

どのツボもあまり決して強く押しすぎないことが大切です。指の腹を使い、「心地よい」「痛気持ちいい」と感じる程度の優しい刺激で押してみてください。

実体験!私が一番効果を感じたマッサージ

私自身3度のつわりを経験しました。
特に3回目は、「吐きつわり」「においつわり」「眠りつわり」に加え、夕方になると急激に気持ち悪くなる…といった、いくつもの症状が混ざり合った非常に辛いものでした。
そんな私が、数あるツボ押しの中でも「個人的に一番効果を時間した方法」をご紹介します。

手の「気の通り道(経絡)」を流すセルフマッサージ

腕にある「手の厥陰心包経(てのけついんしんぽうけい)」というラインをマッサージすることです。

STEP
手のひらを上に向けます。
STEP
反対側の親指と人差し指で、前腕の真ん中のラインを上下で挟むように持ちます。
STEP
手首から肘に向かって、そのラインを優しく、少し長め(数分間)にマッサージします。

これを続けると、不思議とすーっと気持ち悪さが落ち着いてきます。

なぜ「腕のマッサージ」が効くの?

東洋医学では、妊娠するとお母さんの体には「内熱(ないねつ)」という熱がこもりやすくなると考えられています。


ちょうどつわりがピークになる時期は、この「心包経(しんぽうけい)」や「三焦経(さんしょうけい)」という経絡が活発になり、体に最も熱が生じやすい時期と重なるのです。
この熱が胸や胃のあたりにこもることで、吐き気や不快感を引き起こします。
腕をマッサージしてこのラインを整えてあげることは、「こもった熱を逃がす」ことにつながり、症状の緩和に役立つのです。

おわりに「幸せな出会いを待つあなたへ」

新しい命を授かった喜びもつかの間、想像以上のつわりの辛さや、この先への不安に戸惑っている方も多いことでしょう。あまりの苦しさに「こんなに辛い思いをするなんて……」と、心まで折れそうになってしまう瞬間があるかもしれません。
しかし、この辛さには必ず終わりがあります。

そしてその先には、今の苦しみを遥かに上回る、愛おしい我が子との幸せな出会いが待っています。
つわりを「ただ耐えるだけの時間」にするのではなく、セルフケアや鍼灸を上手に取り入れて、少しでも体と心を軽くしてほしいと願っています。
この記事が、あなたが健やかに、そして幸せな気持ちで赤ちゃんの誕生を待てるきっかけになれば幸いです。

妊娠が分かり、家族で嬉しさを分かち合うと同時に辛いつわりや妊娠中の不安に襲われる方もいらっしゃると思います。本当に辛く「こんな辛い思いをするなら…」とも思ってしまう方もいるかもしれません。
でもこの辛さは必ず終わりがあり、その先には辛さ以上の幸せな出会いが待っているはずです。
少しでもそのつらい期間がツボ押しセルフケアや鍼灸院を頼ることで軽減し、生まれてくる我が子を待つ幸せな時間に変わればと願っています。

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この記事を書いた人

Bianca鍼灸サロン目黒本院
川島 実加(Kawashima Mika)

★★★保有資格★★★
鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師

★★★得意な施術★★★
【不妊鍼灸】
西洋医学的には冷えや凝り、歪みなどからくる血流障害を改善し、東洋医学的にはホルモンバランスや自律神経の調節を行うなど心と身体をケアしながら妊娠しやすい体づくりのお手伝いをさせていただきます。

【マタニティー鍼灸】
妊娠中は体調や時期に合わせた刺激量と無理のない体勢で体の負担軽減や安産を目的とし治療を行います。
また産後は体のバランスを見ながら骨盤矯正や子育てからくる体のお悩みに対してもサポートさせていただきます。

★★★一言★★★
ママ鍼灸師としても、患者様のお悩みに寄り添い、施術させていただきます。

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