こんにちは。Bianca鍼灸サロンです。
今回は『群発頭痛』について記事を書きました。
「目の奥がえぐられるような」「焼けるような」と表現される激烈な痛みの頭痛です。
単純な「頭痛」という言葉で片付けることはできません。
- 群発頭痛とは
- 東洋医学から見た群発頭痛
- 群発頭痛への鍼灸アプローチ
Biancaブログでは患者様が気になっていることをブログにしております。
他にもこんなことが知りたいなどあれば、お問い合わせください。
皆様、最後までお付き合いいただければ幸いです。
群発頭痛とは
「1日に何度も決まった時間に激痛が起こる」という特徴があります。
痛みについて
項目 | 内容 |
痛みの場所 | 片側の目の奥や、こめかみ 顔面 |
痛みの種類 | 刺すような痛み 焼け付くような痛み 耐え難い圧迫感、締め付け感 |
強さ | 激痛(鎮痛剤が効かない) |
持続時間 | 1回の発作が1~2時間程度 数週間~数ヶ月の期間に集中して続く |
その他 | 20~40代の男性に多い 片側の目の充血・涙・鼻水・鼻詰まり・発汗など 痛みのあまり、「うずくまる・動き回る・頭を壁に打ち付けたくなる」などの行動をとることもある |

主な原因
明確な原因はまだ解明されていませんが、以下が有力です。
□視床下部の異常
□内頸動脈まわりの血管の拡張と炎症
□三叉神経と自律神経系の異常な反応
※特にアルコールや喫煙が発作を誘発しやすいとされています。
(群発期は禁酒が必須)
治療法・予防法
急性期
□100%酸素吸入(高濃度酸素)
血管の収縮・神経興奮の抑制・痛みの即効軽減
□トリプタン製剤(注射・点鼻)
痛みを抑える強力な薬(市販の飲み薬は効きにくい)
□冷却・安静
頭部や目の周囲を冷やし、暗く静かな環境で休む
(ただし、動き回る人も多く対応が難しい)
予防治療
□ベラパミル(カルシウム拮抗剤)
発作の回数や期間を減らす目的
□ステロイド(プレドニゾロン)
群発期初期に一時的に使用し、発作の流れを断つ
□リチウム
難治性・慢性群発頭痛に使用。定期的な血中濃度のモニタリングが必要
外科的治療
□神経ブロック注射
後頭神経やし蝶口蓋神経などへの局所麻酔
□大後頭神経刺激法
皮下に電極を入れて電気刺激を加える
生活習慣による予防
□アルコール
群発期中は少量でも発作を誘発するため絶対避ける
□禁煙
喫煙者に多い傾向があり、きんえんが予防に有効とされる
□睡眠のリズムを整える
寝過ぎ・睡眠不足ともにNG。決まった時間に寝起きする
□気圧変化対策
低気圧前は体調を整え、刺激を避ける
□食事
チョコレート・チーズ・赤ワインなどの誘因は個人差あり
自分のトリガーを記録して把握
頭痛の役割
頭痛そのものにメリットはありませんが、「得られる気づき」があります。
□健康意識の高まり
「どうすれば再発を防げるのか」と生活習慣を見直すことができる
特に、睡眠、食事、飲酒、喫煙などを見直す大きなきっかけになる人もいる
□自律神経・ストレスへの気づきが得られる
群発頭痛は、自律神経や脳のリズムの乱れと関係があります。
□共感力・理解力が育つ
自分が「痛み」体感することで、他人の見えない不調への理解が深まる
頭痛が及ぼす悪影響
□日常生活への深刻な支障
発作中は何もできず、日常生活が完全に止まる
強烈な痛みで、眠れない、集中できない、動けない
毎日決まった時間に発作が起こることもあり、生活のリズムが崩れる
□仕事や社会活動への影響
群発期(数週間~数ヶ月)は欠勤や早退が続く
発作時に仕事を抜ける必要があり、理解が得られないこともある
職場での評価や人間関係に悩むケースも多い
□精神的なダメージが大きい
「また来るかも…」という良き不安が強く、気が休まらない
痛みの恐怖や、理解されない辛さからうつ傾向、不安症を抱えることもある
「自分は普通に生活できない」と、自己否定感につながることもある
□薬・医療への依存・負担
発作のたびに強い薬(注射や酸素吸入)が必要
一般の鎮痛剤が効かないため、専門治療が不可欠
医療費、通院、酸素機器のレンタル費用など、経済的な負担も大きい
□飲酒や生活制限が多い
群発期中はアルコール厳禁(少量でも発作誘発)
外食・飲み会・旅行など人との時間を楽しみにくくなる
タバコ・夜ふかし・カフェインなど日常の選択肢が狭まる
□慢性化リスクがある
多くは数週間~数ヶ月で自然に収まるが、一部は慢性群発頭痛に移行する
年に何回も発症する
寛解期間がなくなることもある
東洋医学からみた群発頭痛
東洋医学では頭痛が起こった時に頭だけではなく、気血の滞りや五臓六腑のアンバランスとして捉えます。
肝陽上亢(かんようじょうこう)タイプ
肝陽上亢とは、肝の陽気が過剰に上に昇ってしまう状態を指します。
肝は、「気血のめぐり」と「感情のコントロール」を担う臓腑です。
強いストレスや怒りなどで、肝の陰(ブレーキ役)が弱まり、陽(アクセル役)が暴走し、
その結果、頭や目の奥に過剰なエネルギーが集まり、発作的な激痛が起こります。
痛みについて
項目 | 内容 |
痛みの場所 | 目の奥、こめかみ、頭頂部、側頭部 |
痛みの性質 | 目の奥がえぐられるような鋭い痛み ズキズキ痛む |
発作の時間 | 夜間~明け方に起こりやすい(陰の時間に陽が暴走するため) |
その他 | ストレス、イライラ、のぼせ、顔が赤い、目の充血、口が苦い、寝汗など |
主な原因
□強いストレス、怒り
□夜ふかし、睡眠不足
陰虚火旺(いんきょかおう)タイプ
陰虚火旺とは、陰(冷やす、抑えるエネルギー)が不足している状態を指し、陽(熱、興奮のエネルギー)が暴走しやすくなります。
脳や目の奥に「熱」がこもりやすく、夜間~明け方に激痛として現れます。
痛みについて
項目 | 内容 |
痛みの場所 | 目の奥、側頭部 |
痛みの性質 | 目の奥が焼けるような灼熱感、鋭く刺すような激痛 |
発作の時間 | 夜間~明け方に起こりやすい(陰の時間に陽が暴走するため) |
その他 | のぼせ、ほてり、寝汗、口の渇き、耳鳴り、不眠、焦燥感など |
主な原因
□過労・ストレス
□夜ふかし
□加齢などによる腎陰や肝陰の消耗
瘀血(おけつ)+気滞(きたい)タイプ
瘀血とは、血の流れが悪く、滞っている状態です。
気滞とは、ストレスや抑圧により、エネルギーの流れが滞っている状態です。
この2つが重なることで、頭部に「詰まり」と「圧」が集中し、発作的な激痛として現れます。
東洋医学では、「流れの滞りは痛みを生む」と考え、このタイプはその代表例です。
痛みについて
項目 | 内容 |
痛みの場所 | 目の奥、こめかみ、側頭部 |
痛みの性質 | 刺すような激痛、締め付け・圧迫感、ズーンと重い感覚が混在 |
発作の時間 | 季節の変わり目に多い 決まった時間・気圧の変化・緊張後に発症しやすい |
その他 | 目の充血、顔色が暗い、唇や舌の色が紫っぽい、経血が黒い、冷え、しびれなど |
主な原因
□ストレス
□慢性疲労・過労
□冷え
□不摂生
□既往症
瘀血症状(生理痛・肩こり・便秘など)がある人
湿熱内生(してねつないせい)タイプ
湿熱内生とは、体の中に「湿」と「熱」が溜まった状態のことを指します。
「湿」は重くて停滞する性質、
「熱」は上昇して興奮や炎症を引き起こす性質を持っています。
この2つが頭部に集まり、気血の流れを邪魔して強い痛み・不快感・灼熱感をもたらします。
痛みについて
項目 | 内容 |
痛みの場所 | 目の奥、頭全体 |
痛みの性質 | 重く痛む、圧迫感、目の奥がズキズキ・焼けるように痛む |
発作の時間 | 湿気の多い季節、飲酒・脂っこい食事の後 |
その他 | 口の粘り・苦味、吐き気、軟便・下痢気味、肌荒れ、にきび・吹き出物、胸のつかえ感 |
主な原因
□湿気の多い環境
□食生活の乱れ
脂っこいもの、甘いものが好き、暴飲暴食
群発性頭痛への鍼灸アプローチ
群発性頭痛への鍼灸でのアプローチは発作が起きている時と、それ以外でアプローチが少し変わります。
発作時は、刺激量を最小限に抑え、鎮静と調和を重視します。
それ以外の時は、予防・体質改善を目指します。
上記の東洋医学的に見たタイプ別に応じて、施術方法を変えていきます。
自律神経へのアプローチ
鍼灸施術では自律神経へアプローチが可能です。
自律神経とは、交感神経・副交感神経の2つがあります。
この交感神経と副交感神経のバランスが崩れると身体に不調が現れます。
群発性頭痛はストレスが大きく関与していると言われています。
ストレスは交感神経が優位な状態のため、副交感神経を優位にして「過緊張・興奮状態」を鎮めます。
また、中枢神経の痛みに対する感受性が高くなり過ぎている(敏感に痛みを感じてしまう)場合は、痛みに対する感受性を下げるアプローチをします。
ツボへのアプローチ
ツボを通して全身の巡りに働きかけることで、心と身体のバランスを根本から整える力があります。
頭部、顔面への異常な血流や気滞・瘀血を改善させて頭痛を起こしにくくします。
ストレスに大きく関与する「肝」など、五臓六腑の働きを整え、体質から予防を目指します。

まとめ
ここまで、読んで頂きありがとうございます。
群発性頭痛は「耐えられないような痛み」が起こる頭痛です。
正しい知識と対策、ご自身に合ったケア方法を見つけて、痛みのない日常を少しずつ取り戻していきましょう!
頭痛の改善に関してのお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
鍼灸施術を通してあなたの毎日を優しく支えるお手伝いができたら嬉しいです。